絵画意識 – 静かな場所 6 –
2023年1月17日(火)〜2月4日(土)
12:00〜18:00(最終日〜17:00/月曜・休)
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―タイトル、風景・世界(自然)のことなど―
1989年。身辺の風景をモチーフとしながら、はじめて菱形を画面の基本的な構成単位とした絵画を制作し、フォーマリズムとの関わりなどを考えながら、とりあえず「半面性の樹塊」というタイトルをつけた。
以後、作品の内容はほとんど変わっておらず、同名のタイトルを使い続けるうちにいつの間にか120作を超えた。
年を経て、さすがに最近になって「半面性の樹塊」というタイトルと制作の気分がうまく折り合わなくなり、昨年から「道と土地」「公園の入口」「第二の空地」などというタイトルをつけるようになった。
「風景をモチーフとしている」というが、具体的な特定の場所を描いているわけではない。
むしろ強く意識しているのは、日常的に深く関わる身辺の風景の全体であり、それを世界あるいは自然と言い換えても差し支えないように思う。
この世界(自然)は圧倒的である。世界(自然)は無限に複雑であると同時に、どこまでも揺るがしがたい極めて厳格な秩序と法則のもとにある。
方や人の意識といえば、それが捉えうるのは常に、そのほんのわずかな片鱗ですらなく、われわれは生き得るのはそんな寄る辺なさにおいてでしかない。というよりわれわれが生きることができるのは、その寄る辺なさにおいてこそであるというべきか。
いずれにせよこの世界(自然)とは、本腰で見ようとすればするほどよくわからなくなる。だが、そんな世界(自然)のわからなさこそが生きることの基本であり、わからなさをわからなさのままに、捉えがたさを捉えがたさのままに、できるだけ正確に受けいれようとすることこそ重要なのではないか?
たぶん本来ならば、その視点から人の為し得ることと為すべきことを、とりわけ為してはならないことについて、よくよく考えるべきであった。
2023年1月14日 佐川晃司
▶︎ 佐川晃司 SAGAWA Koji
1955年 福井県生まれ
1979年 東京芸術大学美術学部 卒業
1985年 東京芸術大学美術研究科 博士後期課程満期退学
現在 京都精華大学芸術学部 教授
【個展】
1980年 「南北の森」真和画廊(東京)
1984年 「東京芸大学博士課程研究発表展」東京芸術大学陳列館(東京)
1989年 ギャラリー16(京都)
1990年 「さまざまな眼23・佐川晃司」かわさきIBM市民文化ギャラリー(神奈川)
1992年 「近作展10 佐川晃司」国立国際美術館(大阪)
2002年 ギャラリー16(京都)
2006年 「場からの創出」豊田市美術館(愛知)
2007年 「1980年ごろの作品 もうひとつのダイアローグ」ギャラリー16(京都)
2009年 むろまちアートコート(京都)
2013年 「絵画意識-静かな場所」ギャラリー16(京都)
2016年 アートドキュメント2015「佐川晃司展 絵画-見ることの向こう」金津創作の森(福井)
「絵画意識-静かな場所」ギャラリー16(京都)
2017年 「絵画意識―静かな場所2」2kwギャラリー(滋賀)
2019年 「絵画意識―静かな場所3」2kwギャラリー(滋賀)
2021年 「絵画意識―静かな場所4」2kwギャラリー(滋賀)
2022年 「絵画意識」ヒノギャラリー(東京)
2023年 「絵画意識-静かな場所6」ギャラリー16(京都)
*1981~84年 東京を中心に個展多数/1987~91年 京都・東京にて個展多数/1993~2003年 京都・大阪・東京にて個展多数/2007~13年 京都・大阪にて個展多数
【グループ展】
1978年 「DISCUSSION」藍画廊(東京)
1980年 「絵画:実在力としての愛」東京芸術大学展示室(東京)
1983年 「現代美術の最前線」ギャルリー・パレルゴン(東京)
1984年 「ヒューマンドキュメンツ’84/85」東京画廊(東京)
「迂回のパッサージュ」淡路町画廊(東京)
1985年 「風景画」東京芸術大学展示室(東京)〈佐川晃司企画〉
「山口の現代美術Ⅲ」山口県立美術館(山口)
1986年 「1986 SUPRING SHOW」ギャラリーK(東京)
1988年 「7人展」東京画廊(東京)
1989年 「3人展」村松画廊(東京)
1990年 「今、ドローイング展2」ヒノギャラリー(東京)
1992年 「現代美術への視点―形象のはざまに」東京国立近代美術館(東京)/国立国際美術館(大阪)
1994年 「VOCA展‘94」上野の森美術館(東京)
1995年 「水戸アニュアル‘95 絵画考―器と物差し」水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)
1999年 「ART BEING-在り続けることへ」京都精華大学情報館ギャラリーフロール(京都)
「現代日本絵画の展望」東京ステーションギャラリー(東京)
2001年 「森から町へ」金津創作の森(福井)
2002年 「カオス展-酸素そして」ギャラリーカオス(大阪)/ギャラリー春志音(兵庫)
「さまざまな眼125 佐川晃司・村岡三郎」かわさきIBM市民文化ギャラリー(神奈川)
2006年 「画家がいる場所 現代絵画のなかの記憶・風景・身体」小杉放菴記念日光美術館(栃木)
2007年 「DIALOGUES コレクション活用術vol.2」滋賀県立近代美術館(滋賀)
【パブリックコレクション】
国立国際美術館
東京国立近代美術館
豊田市美術館
小杉放菴記念日光美術館
金津創作の森
滋賀県立美術館